学生時代、早乙女さんの絵が載った『翼の王国』を持ち帰りたくてANAの飛行機を選ぶ友人がたくさんいた。機内でページを繰ると、これから始まる旅を祝ってくれているような気分になったものだ。
毎月描かれている『スイングジャーナル』の扉のお仕事も音楽が聴こえてくるようでたまらない。『小説宝石』で10年に亘って描かれた『私の庭』（花村萬月著）の挿し絵は、当初舞台となった江戸時代の浅草の地図が完全に頭に入るほどに、研究を重ねて描かれたものだとうかがった。
早乙女さんとお話していると、絵を描く上で「実感すること」がいかに大切か思い知らされる。その魅力を幅広いお仕事とともにお伝え出来ることをとても嬉しく思っております。　---　ペーターズギャラリースタッフ一同

第一部　LANDSCAPE　６月５日(金)〜６月14日(日)
カプリ島ではホテルの部屋から地中海を眺め、別府では朝の温泉の湯煙に日本の美を見る。『翼の王国』のお仕事を中心に、早乙女さんが世界中を旅するなか
で出会った忘れられない風景の数々を展示します。ギャラリー1階に展示するダンディズムに彩られた人物画とあわせてお楽しみください。

第二部　音と時間の旅　６月16日(火)〜６月24日(水)
マイルス・デイヴィスにコルトーレン、膨大な『スイングジャーナル』のお仕事からたくさんのミュージシャンたちに登場してもらいます。ギャラリー１階で
は『私の庭』（花村萬月著）で描かれた時代物のお仕事とその制作過程をご覧いただく他、美しい色彩で描かれた抒情溢れる作品たちを展示します。

☆６月15日(月)は　作品入れ替えのためお休みです。

☆早乙女道春トークイベント
　 ６月２０日（土）１９：００〜２０：３０
　 ペーターズギャラリー２階　５００円　
　 要予約　patersato@paters.co.jp

早乙女道春（さおとめみちはる）
イラストレーター。1966年生まれ。88年セツ・モードセミナー卒業。同研究科在学中に穂積和夫氏に師事。
93年『スイングジャーナル』誌選新作ジャケット優秀アートワーク賞、94年関西版『ぴあ』演劇ポスター、チラシ大賞入選。
04年装画「砂浜」（紀伊國屋書店）、06年絵本「再会」（リトルモア）。