ペーターズギャラリーコンペ2008 受賞者のお知らせ

ペーターズギャラリーコンペ2008にご応募頂いた皆様ありがとうございました。
審査の結果をご報告します。
応募者数…741名
応募作品数…2,076点
審査結果
網中いづる賞 …小川かなこ(おがわかなこ)(東京都)
新潮社装幀室賞  …田尻真弓 (たじりまゆみ)(神奈川県)
長友啓典賞 …狩野明子(かのあきこ)(東京都)
峰岸達賞 …わたべめぐみ(東京都)
(敬称略順不同)


■審査を終えて各審査員の声と最終選考対象者

網中いづる賞/小川かなこ(東京都)
目に飛びこんでくる色の明るさや、手法の面白さもあって、最初から強く印象に残りました。自然な感じで可愛らしく人物を描けるというのも、この方のよさだと思います。制服、乗馬、三つ編み、リボンといったモチーフにも魅かれてしまいました。
さらに、応募作品の4点がどれもきちんと同じクオリティで描けていることが素晴らしいです。

網中いづるさん総評

家に飾るならどれかな、もし買うならどの作品かな、という視点で選びました。
イラストレーションの場合、やはり色がきれいだったり、見ていて気持ちのいい絵がいいのだと思います。「かわいい」という感覚は描いてみると意外に難しくて、ファンシーに走り過ぎたり、変に媚びたりするような結果になりがちです。「うまい人」はたくさんいたけれど、最後まで残るような人の作品には、なにか心にひっかかるものがあって、そういうものが大切なんでしょうね。
人というテーマは難しいんだなと思いました。私がコンペに出していた時も「顔が描けてない」というようなことをよく言われました。それを考えると今は応募する人たちのレベルが当時に比べて上がっている気がします。応募人数も増えている。
こんなに絵を描く人がいっぱいいることを改めて知り、私もがんばろうと思いました。個人的には初めての審査でとても緊張しました。

最終選考者
やまぞえみよ(東京都) 上路ナオ子(神奈川県) 小笠原徹(東京都) やまぐちめぐみ(東京都) わたべめぐみ(東京都)下舘桃子(埼玉県) 渡邉正伸(神奈川県)田尻真弓(神奈川県) 古谷充子(東京都) 友田シトウ(東京都) 大場綾(東京都) MICAO(兵庫県)相田智之(東京都) 米山夏子(東京都) KAEDE(香川県)ヒラノトシユキ(大阪府) 小野田昌輝(東京都) 

 
新潮社装幀室賞(黒田さん、望月さん、大滝さん)/田尻真弓さん(神奈川県)
どの絵にも安心して見ていられるよさがあります。仕事を考えると、翻訳物の小説や女性的なエッセイにも合うし、単行本、文庫本など媒体を選ばなさそうで、ディレクションのし甲斐がありますね。装幀のイラストレーションとしてとても魅力的でした。大胆なようで、よく見るととても丁寧に描かれています。目の描きかたなどすごく可愛いですね。子どもだけでなく、大人を描いてみるとまたどうなるのか、これから楽しみなところです。

新潮社装幀室の総評

今回は装幀室の3人で選ばせていただきました。普段の持ち込みの方とは一味違う、たくさんの絵と出会えて大変面白かったです。人物を描くということで個性がよく出ていました。選考基準を「新潮社の本の装画を末長くお願いできる、これからの方」としたので、まずその線で30点ぐらいを選びました。その後、田尻真弓さん・佐藤香苗さん・井内愛さんの3人に。そして海外翻訳・小説・文庫全てで安心してお願いできそうな作風の田尻さんに意見が傾いていきました。離れて見た時は大胆で魅力的なフォルムで、近づいて見ると鉛筆の線や塗りが繊細です。女の子の表情もいいですね。コンポジション(装幀として)にやや不満が出ましが、これはディレクションで解決出来ることですので、最終的に3人一致で田尻さんに決定しました。洗練された作風は、今後新潮社だけではなくいろいろなところでご活躍されることが期待されます。

最終選考者
佐藤香苗(東京都) 井内愛(東京都) 鈴木梨紗(三重県) 佐々木京介(神奈川県) やまぐちめぐみ(東京都) 坂口塁(東京都)タワラダマサミ(東京都) 阿部君恵(栃木県) chiyo(東京都) 宮先雅之(京都府) 堀川登代(兵庫県) 曽我部渾(東京都)いわがみ綾子(東京都) 上路ナオ子(神奈川県) てんてん堂(静岡県) いしかわのぞみ(神奈川県) 堀口尚子(埼玉県) 吉田裕美(東京都)熊倉恵子(東京都)

 
長友啓典賞/狩野明子(東京都)

 
ボーリングのおじさんの絵、好きだなぁ。なんとも言えない不思議な世界。
一瞬にして心を鷲掴みにされてしまいました。
とても丁寧に描いてあって、さらにこの意表を突くパースペクティブ。たまらんなぁ。
もう一枚の絵がうまくいってないのがとても残念。
それもあって大変悩みましたが、やはり一目惚れということでこのボーリングのおじさんにベスト作品賞をさしあげましょう。

長友啓典さんの総評

最後まで残った人たちの作品はそれぞれ違うよさがあるので、一人を選ぶのは難しかった。
ただ残った人たちには共通した「画品」がありました。この画品というのが絵を描く上で一番むずかしいところ。
全体的には描きなぐったような絵が少なく、参加した殆どの人がしっかり紙や絵具と向かい合って、表現に対して真剣に取り組んでいるのに驚きました。
「いかにこのコンペに参加するか」という本人の姿勢が、コンペの意味であり、面白さだと思う。
結果だけが大切なのではない。
ある覚悟を持って一生懸命に取り組むことに意味があるわけだから、こういうコンペに出し続けることが大切だと思います。そういう姿勢で挑めばそれなりの結果がついてくる、つぎ込んだエネルギ−が倍になって返ってくると思ってね。
真剣に取り組んだのであれば、今回の結果がどうであれそれが必ず自分の蓄えになって返ってくることでしょう。

最終選考者
高嶺玄(埼玉県) 篠原いづみ(東京都) スギウラフミアキ(愛知県) 竹田啓介(東京都) 馬込博明(東京都) 阿部君恵(栃木県)福田洋介(千葉県) 山下アキ(東京都)中村直子(千葉県) 石本真裕子(愛知県) 加ト祐哉(東京都) 塩川真由美(千葉県)ヒラノトシユキ(大阪府) 佐野洋平(三重県) 末吉陽子(東京都) 辻恵(愛知県)

 
峰岸達賞/わたべめぐみ(東京都)

何かの物語の絵なのだろうか。それとも想像の世界なのか。どこかヨーロッパの方の少女を主人公にしたミステリー小説(もしくはミステリアスな童話)の挿絵のよう。
とにかく、わたべさんの絵に漂うミステリアスな雰囲気はとても魅力的。
力が安定していて、プロとしてすぐにでも良い仕事が出来そう。

峰岸達さん総評

応募作品については、正直言ってまだまだのレベルの人たちがたくさんいました。個性を求めるあまり不自然な結果になってしまっている絵が多かったように思います。もっと強烈に僕に選んでくれと訴えてくるような絵があると嬉しかったんだけどなぁ。でも最後まで残らなかった人のなかにもいい作品はいっぱいありました。
なにせ2,000点以上という作品の量に圧倒され、これだけイラストレーターを目指している人がたくさんいることに驚くばかりです。イラストレーションが使われる機会は増えているけれど、以前のように面白いことをやらせてくれる媒体がなかなかない現状が残念ですね。ここから十年後にどれくらいの人たちがプロとして残っているのか、楽しみにしています。

最終選考者
田尻真弓(神奈川県) 上路ナオ子(神奈川県) 松倉香子(東京都) なぎ風子(東京都) 下舘桃子(埼玉県) 内藤あかり(北海道)てんてん堂(静岡県) 後藤美月(三重県)玉垣力(兵庫県) 佐野洋平(三重県) 小川かなこ(東京都) 櫻井乃梨子(東京都) 白壁ゆう子(東京都)正一(神奈川県) 加藤佳代子(東京都) ヒラノトシユキ(大阪府)尾崎千春(東京都) 草間博子(東京都) やまぐちめぐみ(東京都)西川真以子(神奈川県) 竹村ゆみ子(東京都)

7月27日発売の玄光社「イラストレーション」誌にも審査結果と受賞作品が掲載されます。

PATER'S Gallery COMPETITION 2008展
2008年9月5日(金) - 9月17日(水) 12:00〜19:00 木曜日定休


今回の受賞者4人による展覧会を行います。
ぜひ見にいらしてください。。


■審査員プロフィー

峰岸達(みねぎしとおる)
イラストレーター

1944年、群馬県高崎市生まれ。青山学院大学中退。良き時代のセツ・モードセミナーで学び、長らく講師も務めた。60年代後期よりずっとフリーのイラストレーター。94年講談社出版文化賞さしえ賞。著作は『昭和少年図鑑』白泉社、『私の昭和町』PHP研究所、『PORTRAIT』HBギャラリー、CD-ROM作品集『青空画報』東芝EMI等がある。TIS会員。峰岸達イラストレーション塾主宰。

「センスのいい絵を期待します。」

 
網中いづる(あみなかいづる)
イラストレーター
1968年生まれ。大分県立芸術短期大学美術科を卒業後、セツ・モードセミナーで学ぶ。セレクトショップ勤務時代に販売促進ツールとしてのイラストレーション制作に携わり、2002年に独立。現在は広く出版物や広告の分野で活動する。1999年ペーター賞、2003年TIS公募プロ部門大賞、2007年講談社出版文化賞さしえ賞を受賞。TIS会員。

「私にとってペーター賞受賞はイラストレーターを目指す大きなきっかけになりました。(審査を依頼されることになるとは思ってもみませんでした。)たくさんの作品との出会いを楽しみにしています。よろしくお願い致します。」
 
新潮社装幀室
(しんちょうしゃそうていしつ)
新潮社で刊行されるほとんどの本をデザインしている社内スタッフ11人の総称です。今回は文芸と文庫を主に担当している黒田・望月・大滝の3人が「新潮社装幀室」として審査させていただきます。私たちは書籍の装幀が仕事ですので絵として魅力的なだけではなく、本というメディアにふさわしい新しい才能を常に求めています。時代性や芸術性に強くとらわれず、プロフェッショナルな仕事ができる(していきたい)未来のイラストレーターを応援します。
 
長友啓典(ながともけいすけ)
アートディレクター
1939年大阪生まれ。1961年桑沢デザイン研究所卒業。日本デザインセンター入社。1969年黒田征太郎とK2設立。エディトリアル、各種広告、企業CI、及びイベント会場構成のアートディレクションを手がけるほか、多数の小説に挿絵、エッセイ連載など、現在に至る。




© satomi mizuuchi

ペーターズギャラリーコンペ2008 作品募集要項

審査員 網中いづる(イラストレーター)
新潮社装幀室
長友啓典(アートディレクター)
峰岸 達(イラストレーター)
敬称略・五十音順
応募作品の中から4組の審査員が各1名を選出し、賞を決定。
受賞者による作品展を当ギャラリーにて行います。(2008年9月5日〜17日予定)
※入賞者には6月末までにご連絡します。
受付期間 2008年5月31日(土)〜6月11日(水)
12:00〜19:00(木曜定休)
テーマ テーマは「人」。人物を多く描いたイラストレーター・ペーター佐藤にちなんで、人物を題材にしたイラストレーションを募集します。
作品サイズ等 B3サイズ以下。画材自由。点数制限なし。立体・半立体作品は保管の都合上写真等でご応募ください。
※折曲がりやすい作品は台紙に貼り、傷がつきやすい作品の表面は透明のフィルムをかけてください。トレペ不可。額装不可。
出品料

2点まで3,000円、3点目からは1点につき1,000円
(例:5点応募の場合、計6,000円)、無記名の定額小為替証書(郵便局で購入可能)で作品と共に搬送して下さい。
直接搬入の方はギャラリー受付にて現金でお支払い下さい。
※応募者の都合による出品料の返金は致しません。

搬入搬出 作品の裏面に1.氏名(フリガナ) 2.年齢 3.住所 4.電話 5.メールアドレス 6.職業 7.応募点数の何枚目にあたるか 8.作品返却の有無 9.使用画材 、を記入し直接搬入または搬送して下さい。郵送返却希望の方は返送用封筒と返送先を記入した「着払い宅配伝票」または「切手貼付の返送用封筒」を同封して下さい。
直接搬出希望の方は7月7日〜25日(12:00〜19:00/木曜定休)までの間に取りに来て下さい。
※搬出期間を過ぎた作品はお預かりできません。搬出日に来られない方は必ずご連絡下さい。
※作品の扱いには十分気をつけますが、万一破損・紛失した場合はご容赦願います。
応募先 ペーターズショップ アンド ギャラリー
〒150-0001東京都渋谷区神宮前2-31-18
Tel:03(3475)4947
Fax:03(3408)5127
mail:patersato@paters.co.jp
応募用紙はコチラをプリントアウトしてご利用ください。

■審査員プロフィール

峰岸達(みねぎしとおる)
イラストレーター

1944年、群馬県高崎市生まれ。青山学院大学中退。良き時代のセツ・モードセミナーで学び、長らく講師も務めた。60年代後期よりずっとフリーのイラストレーター。94年講談社出版文化賞さしえ賞。著作は『昭和少年図鑑』白泉社、『私の昭和町』PHP研究所、『PORTRAIT』HBギャラリー、CD-ROM作品集『青空画報』東芝EMI等がある。TIS会員。峰岸達イラストレーション塾主宰。

「センスのいい絵を期待します。」

 
網中いづる(あみなかいづる)
イラストレーター
1968年生まれ。大分県立芸術短期大学美術科を卒業後、セツ・モードセミナーで学ぶ。セレクトショップ勤務時代に販売促進ツールとしてのイラストレーション制作に携わり、2002年に独立。現在は広く出版物や広告の分野で活動する。1999年ペーター賞、2003年TIS公募プロ部門大賞、2007年講談社出版文化賞さしえ賞を受賞。TIS会員。

「私にとってペーター賞受賞はイラストレーターを目指す大きなきっかけになりました。(審査を依頼されることになるとは思ってもみませんでした。)たくさんの作品との出会いを楽しみにしています。よろしくお願い致します。」
 
新潮社装幀室
(しんちょうしゃそうていしつ)
新潮社で刊行されるほとんどの本をデザインしている社内スタッフ11人の総称です。今回は文芸と文庫を主に担当している黒田・望月・大滝の3人が「新潮社装幀室」として審査させていただきます。私たちは書籍の装幀が仕事ですので絵として魅力的なだけではなく、本というメディアにふさわしい新しい才能を常に求めています。時代性や芸術性に強くとらわれず、プロフェッショナルな仕事ができる(していきたい)未来のイラストレーターを応援します。
 
長友啓典(ながともけいすけ)
アートディレクター
1939年大阪生まれ。1961年桑沢デザイン研究所卒業。日本デザインセンター入社。1969年黒田征太郎とK2設立。エディトリアル、各種広告、企業CI、及びイベント会場構成のアートディレクションを手がけるほか、多数の小説に挿絵、エッセイ連載など、現在に至る。

 
ペーターズギャラリー
コンペについて