ペーターズギャラリーコンペ2018 受賞者のお知らせ

ペーターズギャラリーコンペ2018にご応募頂いた皆様ありがとうございました。
審査の結果をご報告します。

テーマ「人」。人物を題材にしたイラストレーション。
サイズ B3サイズまで。点数制限なし、画材自由。

審査員

大久保明子(文藝春秋デザイン部)
鈴木成一(グラフィックデザイナー)
五月女ケイ子(イラストレーター、エッセイスト、漫画家)
峰岸達(イラストレーター)
【敬称略・五十音順】

応募作品の中から各審査員が上位3名を選出し、賞を決定。
受賞者による作品展を当ギャラリーにて行ないます。(2019年2月)

応募人数  357名
応募作品数 1219点

審査結果

大久保明子賞/平井豊果(神奈川県)
鈴木成一賞/青依 青(愛媛県)
五月女ケイ子賞/紙谷俊平(東京都)
峰岸達賞/原口祥絵(群馬県)
大久保明子賞次点/安藤巨樹(東京都) すぎもりえり(東京都)
鈴木成一賞次点/金森まさき(東京都) 西村隆史(兵庫県)
五月女ケイ子賞次点/小口志帆(愛知県) 目黒史子(東京都)
峰岸達賞次点/合田里美(神奈川県) しらいしののこ(千葉県)

※敬称略

■審査を終えて各審査員の声と最終選考対象者

大久保明子賞 平井豊果(ひらい・ゆたか)
圧倒的に原画の色が美しかったです。どの作品も同じ色でまとめられていますが、この紺色、紫色、クリーム色、蛍光ピンクって合うんだなあ、美しいなあ、と思わされました。 「過去の失敗作をコラージュしてまとめている」というコンセプトも面白く、他のコンペでも同様の色調の作品を見ていましたが、「人」というモチーフとコラージュが上手く合わさっていると思いました。アートっぽいですが、意外にどんなモチーフでも上手く描いてくれそうなので、仕事でもお願いしてみたいです。
   
大久保明子賞次点  
安藤臣樹(あんどう・なおき)  
背景と人のバランスが良くて、色合いも素敵です。乾燥しているようなウェットなような。ロードム―ビーのような雰囲気。 装画でも挿画でも上手く描いてくれそうです。
   
すぎもりえり(すぎもり・えり)  
堂々としたポートレートに惹かれました。色の塗り具合がちょうど良くて気持ちいいです。目が片方違った感じで描かれているのもとても素敵で、しかし仕事でお願いするとしたら同じに描いてもらうかも、とも思ったり。とにかく見ていて気持ちよくて「人の絵」って絵として原点だなあ、いいなあ、と思わせてくれました。
   

大久保明子さん総評

久しぶりのぺーターズギャラリーコンペでしたが「人の絵」っていいなあ、と改めて思いました。楽しかったです。コンペの審査は自分の好みと、仕事でお願いできるかと、その狭間でどっち寄りに審査しようと迷うところがあるのですが、今回最終審査まで残った方達はそのどちらにも当てはまっています。 私の仕事は書籍の装丁なので、装画の話をさせていただくと、長く出版不況と言われていますが、刊行点数自体は減っておらず、絵をお願いする数も減ってはいません。日本の書籍の装丁にイラストレーションは欠かせないものです。デザインするこちらのモチベーションもあげてくれるような絵に沢山出会えて嬉しかったです。 最後に来年の応募の方へのアドバイスとして、大賞・次点の皆さんは5枚以上の作品応募がありました。これぐらいあるとご本人の世界観が分かります。1、2枚だと気になるところがあっても戦い辛いかなあ、と感じました。

大久保明子さん最終選考
最終選考者…岸あずみ(茨城県)、長谷川海(埼玉県)、赤、太田麻衣子、大塚文香、大家三佳、岡村よるこ、金森まさき、近藤まや、スズキタカノリ、田中光枝、田辺結佳、出口えり、安川ユキ子、ゆりえ坂(東京)、古屋知世、宮下和(神奈川)、藤本紘希(大阪)、小野さとこ(大分)

(大久保明子さんの審査のながれ 一次審査→二次審査→最終選考)


 
鈴木成一賞 青依 青(あおい・あお)
 

青井さんは昨年、私の賞の次点でした。その時の作品は物語のワンシー ンのようなやや説明的なもので、その才能の片鱗に期待したものでした が、今回はブッちぎりでした。たとえば世界観とか深層心理とか、想像 のなかでしか成しえない、そういう目に見えないものをすっかりそこに 現してしまう、イラスト界のウ゛ィルトゥオーソではないでしょうか。 受賞者展では、その圧巻のスペースオペラを期待します。

   
鈴木成一賞次点  
金森まさき(かなもり・まさき)  
多種多様の情報を精査して、つねに最適化を目論む現代の若者を見る思 いです。
   
西村隆史(にしむら・たかし)  
モノクロの版画という技法も相俟って、物語へ誘う高いポテンシャルを 感じます。
   

鈴木成一さん総評


今回特に感じたのは、40代女性の作品が目立ったということでした。もっ ともイラストレーターを志すのは女性が圧倒的に多いのですが、どうい うわけか 40代がそのレベルとともに際立ったように思います。私自身 がそうでしたが、フリーではじめてほぼ 10 年くらいは、その仕事が果 たして社会に機能したのかどうか、正直なところよくわからない。少な くとも実感は伴わずにおりました。今振り返ってそれは、イラストでも デザインでも社会に伝わる「言葉」として洗練し機能するには、そのく らいの時間を必要とするからなのではないでしょうか。おそらく 40 代 というのは、それを経て、自らのスタイルに自覚的に「なる」、あるい は「なれる」世代なのかもしれません。参加者 357名、1次通過 36名、 2 次通過11名でした。最終的に3名を選考させていただきましたが、4位の大野博美さんはほぼこのレベルでした。

鈴木成一さん最終選考
最終選考者…大野博美、楓真知子、金子幸代、高橋岳人、スズキタカノリ、(東京都)、柊有花、平井豊果(神奈川県)、南景太(岐阜県)、namoyono(京都府)

(鈴木成一さん審査のながれ 一次審査→最終選考)

 
五月女ケイ子賞 紙谷俊平(かみや・しゅんぺい)
「2010年のスタジオ・アルタ楽屋」このタモリさんのイラストのタイトルが秀逸でした。たぶん、いや、絶対アルタの楽屋じゃないし、イグアナいるし、タモさん姿勢良すぎるし。タイトルの情報にタモさん以外、何一つあてはまるものがないところが素晴らしい。この1枚のインパクトと完成度で決めました。
   
五月女ケイ子次点  
小口志帆(おぐち・しほ)  
すごくお上手なのに、あえてこのモチーフなのか。そして、このタイトルなのか!ぬぐいきれないセンスとユーモアに、ハッとして、唸らされました。
   
目黒史子(めぐろ・ふみこ)  
「山の神様」というタイトルをみて、絵をみて、衝撃を受けました。全ての絵に貫かれる「描きたい」という衝動にも。何日も頭から離れません。
   

五月女ケイ子さん総評

さまざまな「人」を見ることができて、楽しかったです。選ぶ側に立ってみると、うまさ、スタイル、原画の質の良さなどはもちろん、それともう一つ「何か」がいるのだなあということがわかりました。ということで、「タイトル」で選びました。作者の意思決定、絵との距離感、ユーモアなど、タイトルって実はすごく饒舌なんだと、新しい発見です。「え?なんでこのタイトル?!」となんだかざわざわしたり、他の作品を見ていても強烈に心を引きずられた、普通ではない私らしい作品を選ぶことができたのではないかと思います。

五月女ケイ子さん最終選考
最終選考者…宮本涼帆(北海道)、芳賀あきな、加藤正臣、渡辺ふみ子(千葉県)、おおぐりさちこ、大塚文香、佐藤千恵、仲村直、三浦由美子、ムラサキユリエ、ヤギエツコ(東京都)、鈴木日苗(神奈川県)、南景太(岐阜県)、真鍋玲央(岡山県)
(五月女ケイ子さん審査のながれ 一次審査→最終選考)


 
峰岸達賞 原口祥絵(はらぐち・さちえ)
 
現代的な原宿の街と、素朴な描写のバランス感覚(アンバランス?)が、何とも良い味わいになっていると思います。 なかなか描けるものではありませんね。
   
峰岸達賞次点  
合田里美(ごうだ・さとみ)  
独特の雰囲気としっかりした描写力を持っていますね。 女学生以外のいろいろな人物像も見てみたいです。
   
しらいしののこ(しらいし・ののこ)  
このペーターズコンペは「人物」が主役のはずですが、この人の作品は「人物」が脇役に見えるのが、ちょっと減点になりましたね・・・。 作品の出来はとてもいいのですが・・・。
   
 
峰岸達さん総評

良い作品が多かったです。 結果的に最終選考まで残った人が大勢になり、とても迷いました。 大賞や次点になってもおかしくない人が、最終選考に残った中に何人もいました。 僅差でした。 最終選考まで届かなかった人でも、惜しい人が何人もいました。 一方、コンペというものがよく分かって無い人も少なからずいました。 小さい絵を1、2点しか応募して来ないとか。 こういう人は押しなべて、レベル的にもまだまだという人に多いですね。 沢山応募してくる人には、熱意が感じられて好感が持てます。 かといって、必ずしも数出せばいいってもんでもないですけどね。

峰岸達さん最終選考
塚本純子(茨城県)、糸井みさ(埼玉県)、岡野茜、渡邉孝行(千葉県)、青山功、あべちほ、安藤巨樹、大野博美、鹿毛英子、川井純子、京極あや、久保田美穂、けいもとひとみ、すぎもりえり、丸山礼華、西山竜平、橋本裕子、増田恵、ミヨシ、矢入幸一、安川ユキ子(東京都)サカガミタケシ、吉泉ゆう子(神奈川県)、南景太(岐阜県)、あきやまりか(大阪府)、原田すず(兵庫県)、久保田寛子(山口県)
(峰岸達さん審査のながれ 一次審査→最終選考)


PATER'S Gallery COMPETITION 2018年度受賞者展
2019年2月8日(金)〜2月2
0日(水)開催予定
ペーターズギャラリー 12:00〜19:00 木曜日定休
受賞作品の展示と、各審査員賞に選ばれた4名はあらたに描き下ろした作品も展示します。



© Kensuke Okano

ペーターズギャラリーコンペ2018 作品募集要項

審査員

大久保明子(文藝春秋デザイン部)
鈴木成一(グラフィックデザイナー)
五月女ケイ子(イラストレーター、エッセイスト、漫画家)
峰岸達(イラストレーター)
【敬称略・五十音順】

応募作品の中から4人の審査員が各々上位3名を選出し、賞を決定。 受賞者による作品展を当ギャラリーにて行います。(2019年2月中旬予定)
受付期間 2018年6月2日(土)〜6月13日(水)12:00〜19:00 木曜定休
※入賞者には7月5日までにご連絡します。
テーマ テーマ「人」。人物を多く描いたイラストレーター・ペーター佐藤にちなんで、人物を題材にしたイラストレーションを募集します。
作品サイズ等 B3サイズ以下。画材自由。点数制限なし。
立体・半立体作品は保管の都合上、写真等でご応募下さい。
※折曲がりやすい作品は厚紙などの台紙に貼り、必ず作品の表面に透明のフィルム(アセテートフィルム等)をかけてください。トレペ不可。額装不可。
出品料

2点まで3,000円、3点目からは1点につき1,000円(例:5点応募の場合、計6,000円)、郵送搬入の方は無記名の定額小為替証書もしくは普通為替(郵便局で購入可能)で作品と共にお送りください。
直接搬入の方はギャラリー受付にて現金でお支払いください。
※応募者の都合による出品料の返金は致しません。

搬入搬出 上記の受付期間中に作品を、ペーターズギャラリーに直接搬入または搬送して下さい。郵送返却の方は返送先を記入した「着払い宅配伝票貼付の返送用封筒」または「切手貼付の返送用封筒」を同封して下さい。 直接搬出の方は7月14日〜7月31日(12:00〜19:00/木定休) の間に取りに来てください。
※搬出期間を過ぎた作品はお預かりできません。 搬出日に来られない方は必ずご連絡ください。
※作品の扱いには十分気をつけますが、万一破損・紛失した場合はご容赦願います。
応募先/お問合せ ペーターズショップ アンド ギャラリー
〒150-0001東京都渋谷区神宮前2-31-18
12:00〜19:00
Tel:03(3475)4947
Fax:03(3408)5127
mail:patersato@paters.co.jp
12:00〜19:00/木曜定休
応募用紙はコチラをプリントアウトしてご利用ください。

■審査員プロフィール

大久保明子(文藝春秋デザイン部)

1971年埼玉県生まれ。多摩美術大学デザイン科グラフィックデザイン専攻卒業後、 文藝春秋デザイン部に入社。書籍の装丁を主に手がける。 年間の装丁数は単行本、文庫本合わせて80冊ほど。 第38回講談社出版文化賞ブックデザイン賞を『真鶴』(川上弘美・著 文藝春秋刊)で受賞。

『人は「人の絵」をどうしても見てしまうものです。今回はどんな「人の絵」に出会えるか楽しみにしています。』

 
鈴木成一(グラフィックデザイナー)

1962年北海道生まれ。筑波大学芸術研究科修士課程中退後、1985年よりフリーに。1992年(有)鈴木成一デザイン室設立。 1994年講談社出版文化賞ブックデザイン賞受賞。エディトリアルデザインを主として現在に至る。「鈴木成一装丁イラストレーション塾」講師。 筑波大学人間総合科学研究科非常勤講師。 著書に『装丁を語る。』『デザイン室』(いずれもイースト・プレス刊)、『デザインの手本』(グラフィック社)。

「あたらしい才能の発見が楽しみです。」

 
五月女ケイ子(イラストレーター、エッセイスト、漫画家)

独学でイラストを学ぶ。伝説のテレビ番組「宝島の地図」のコーナーが書籍化された「新しい単位」シリーズがベストセラーに。以降、古事記を大胆に脚色した漫画「レッツ古事記!!」やLINEスタンプ、UNIQLOTシャツなど、インパクトと味わいのある独特のスタイルのイラストをさまざまな媒体で絶賛放出中。6月には、渋谷パルコで開催の「五月女ケイ子の逆襲」の巡回展を台湾で開催予定。いつも面白いことには目がない。

「コンペってドキドキしますよね。でも、審査員も実はドキドキしてるんです。ドキドキする者同士、お互いに頑張りましょう。」

 
峰岸達(イラストレーター)

1944年群馬県高崎市生まれ。青山学院大学中退。セツ・モードセミナー卒業。 94年講談社出版文化賞さしえ賞。著作に「昭和少年図鑑」「私の昭和町」「PORTRAIT}等。 MJイラストレーションズ主宰。

「自分が主宰するイラストレーション塾の生徒、卒業生がかなり応募してくると思いますが、私情を挟まず冷徹な目で審査する所存です。」



■ ペーターズギャラリーコンペ受賞者を訪ねて
過去のコンペ受賞者の活動をご紹介しています。

 
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