ペーターズギャラリーコンペ2021 受賞者のお知らせ

ペーターズギャラリーコンペ2021にご応募頂いた皆様ありがとうございました。
審査の結果をご報告します。

テーマ「人」。人物を題材にしたイラストレーション。
サイズ B3サイズまで。点数制限なし、画材自由。

審査員

井筒啓之(イラストレーター)
ゴトウヒロシ(アートディレクター/イラストレーター)
鈴木成一(グラフィックデザイナー)
【敬称略・五十音順】

応募作品の中から各審査員が上位3名を選出し、賞を決定。
受賞者による作品展を当ギャラリーにて行ないます。(2022年2月)

応募人数  256名
応募作品数 817点

審査結果

井筒啓之賞/近藤みか(埼玉県)
ゴトウヒロシ賞/嘉辰カレン(北海道)
鈴木成一賞/朝江丸(神奈川県)
井筒啓之賞次点/鐘ヶ江万里(埼玉県)瀬彩加(東京都)
ゴトウヒロシ賞次点/うしさん(埼玉県)近藤みか(埼玉県)
鈴木成一賞次点/鐘ヶ江万里(埼玉県)こにしななめ(大阪府)

※敬称略

■審査を終えて各審査員の声と最終選考対象者

井筒啓之賞 近藤みか(こんどう・みか)
審査中に「額に入れて飾りたいな」と言ったぐらい赤いソファとくまの絵は大好きです。「可愛い」事に溺れてないと言うかクールですよね。気軽に口にすると中の女の子が怒りそうな雰囲気。応募作品のどれも素晴らしかったです。

【受賞者展に向けてのアドバイス】
女の子の生活感がある日常的な姿。ファッション誌などのポーズとは違う自然な姿。プライベートな他者の目を気にしない姿。自分の部屋でしか見せないような姿。応募した絵を見て色々思いついたのですが、この辺りをベースにした絵をたくさん見たいと思っています。人と違ったことをしようとせずに素直に描けばあなたの個性が際立つと思います。個展、プレッシャーは感じていいと思いますけど、今の段階で全作品100点満点は望めないから光る絵を数枚描けば良いという気持ちで。その絵を楽しみにしています。
   
井筒啓之賞次点  
鐘ヶ江万里(かねがえ・まり)  
もう純粋に可愛いですよね。顔が鐘ヶ江さん独特の表情でこれは強みになると思います。ファッションも含め描写力とセンスあるし色も素敵です。Instagramで成長を見ていたけれどやはり努力は大切ですね。
   
瀬彩加(たかせ・あやか)  
構図と色が洒落ていますね。少し彩度を落としながらもグレーを上手く使っているから絵が華やかに見える。とても気品がある。「何かを描く」ことより色を使って表現をする大切さと面白さを感じる。
   

井筒啓之さん総評

最初から時間をかけて見させてもらった。というか見ざるを得なかった。コンペでは最初はすんなり判別していけるけど、今年は野次馬的な応募が少なかったのだろうね。さて全体的に感じた事を言うと、時代の風の無さだ。審査員をやり始めた頃とほぼ変わらない感覚に陥るときもあった。格好良さとか流行とかもう少し考えたらどうだろうか。学生の作品に多少そういう傾向があることに救われる。個々に見ていけばいい作品はあったけど全部の印象となる「時代の風が吹いてない!」となってしまう。?最終選考に残った人たちは素晴らしいレベルのセンスを持った方々だ。1次選考の時から群を抜いて目立っていた。優秀賞と次点はもう僕の好みだけです。逆に言えば他に突出したものが無かったとも言えるのですが、他の誰を選んでも良いぐらい拮抗していた最終選考でした。

井筒啓之さん最終選考
最終選考者…金子幸代 すぎもりえり 渡辺一美 邦子 出口瀬々 生田目和剛 山瀬尚子 kobatatsu yasuo-range (東京都)、久勝堂 竹内薫 朝江丸 小牧真子 (神奈川県)、長谷川海 前田なんとか 瀬崎百絵 (埼玉県)、原田俊二、岸あずみ(千葉県)、田中直朱(静岡県)、大竹清仁(群馬県)、足立ゆうじ 荻珠里(愛知県)

(井筒啓之さんの審査のながれ 1次審査→2次審査→最終選考)


 
ゴトウヒロシ賞 嘉辰カレン(かしん・かれん)

腕を掴まれて引き寄せられたかのように、作品の人物の眼差しに吸い込まれました。写真が下地なのかと疑うぐらい(それでもいいのですが…)、リアルな表情の造作に驚きました。今はまだご本人とって個人的な表現かもしれませんが(既にご活躍ならゴメンなさい)、今よりもずっと広いフィールドで華々しく活躍できる可能性を感じます。もっともっと沢山の作品と世界観をペーターズギャラリーの受賞者展で味わってみたいと切に思い、冠賞に選ばせていただきました。

【受賞者展に向けてのアドバイス】
たくさん個性的なキャラを引き連れて、壁一面、カレンワールドを演出してください。 期待しています。

   
ゴトウヒロシ賞次点  
うしさん(うしさん)  
応募いただいた作品の表情に惹かれました。実に人間味のあるリアルな捉え方なのに、少しも臭さがない。役者さんの達者な演技を見ているようで、本当に味わい深く雄弁です。作者ご本人のパーソナリティがとても気になります。背景と人物との加筆のバランス、描きこみのさじ加減など、卓越した技術に感心します。それでいてタッチが余計な興味を抱かせることなく画面の自然な空気づくりに成功しています。日本のエンタメのたくさんの分野で活躍してください。
   
近藤みか(こんどう・みか)  
まるでフィギュアのように作り込まれ、洗練された人間のカタチ。無表情でいるのに心の声が脳の中に響いてくるようです。ヨーロッパ菓子のようなセンスの良い配色と、様々な道具によりデリケートに作り込まれたマチエール。デジタル、印刷物にかかわらず、メディアを通した見え方であっても、作品の表面に施された丁寧な仕事ぶりが独自の世界観を深めることでしょう。
   

ゴトウヒロシさん総評


ご応募いただいた方々に対して失礼な話ですが、どの作品も非常にレベルが高く驚きました…というのが審査初見の感想です。ベテランの熟練の味から、これはSNSでバズりそうという新しい表現やテーマ、背景を含めた巧みな世界観の作り方など、勉強になりました。年齢層も幅広く60過ぎの方から10代の学生さんまで半世紀のジェネレーションギャップを感じさせない、表現の層の厚さを思い知らされました。特に審査の最後まで悩まされた惜しくも次々点の久勝堂さんの作品は、私と同い年でありながらなんという表現をするのだ!というぐらいのフレッシュさが演出されていて、これは技巧的に凄いことをしてるに違いないと感服しました。全体として平成時代のガーリーな作品が少なくなっていて、骨太の新しい潮流を見ることができ光栄です。たまたま受賞できなかったからといって残念に思うことはありません。これからも、ご応募の皆さん全員の創造に期待しています。

ゴトウヒロシさん最終選考
最終選考者…有賀文昭 Sala kazz 楓真知子 渡辺一美 岩口ことは(東京都)、朝江丸 久勝堂(神奈川県)、原田俊二(千葉県)、大木由紀子(愛知県)、冨田陽子(大阪府)、SacaPlankton(長崎県)

(ゴトウヒロシさん審査のながれ 1次審査→2次審査→最終選考)

 
鈴木成一賞 朝江丸(あさえまる)
テクニックは瞠目です。CG による周到かと思いきや、手描きでした。これに関しては、少なくとも突っ込みどころ がありません。いずれもノスタルジックで、ややもするとそれへのフェティシズムが成功しているように見えるので、この卓抜な画力が狭隘に陥ることなく、さまざまに敷衍するのを希望 します。よって受賞展での新作はそれを希望します。
   
鈴木成一次点  
鐘ヶ江万里(かねがえ・まり)  
世の中が成熟していろいろな不都合が澱のように基底する現代(笑)、それらを優しく雪いでくれる清々しさを感じます。このコンペに、ペーターズにまさにふさわしい作品ではないでしょうか。 どうかこの汚されることのない硬質な美意識を持ちつづけてください。
   
こにしななめ(こにし・ななめ)  
テクニックもさることながら、元気があってよろしい。20代だったと思われますが、阿らない毅然とした風格すら感じます。古風な水墨画的な手法のなかに違和感なくポップさを馴染ませていて、独自の世界観を見せています。しかしながらモノクロームであるのが辛くも功奏している気もしないではないので、破綻なく色彩が調和するのを見てみたい。
   

鈴木成一さん総評

今回はというか今回も、ということになりますが、本気度という点で作品は二分されました。真っ二つといってもよいでしょう。応募された方々があくまでイラストレーターを志すという前提ですが、それは、親の発することばを真似てやっとそれらしき音になりつつある赤子と、他人に堂々と意見できる自立した者との違い、というか分断です。いうまでもなく、イラストレーションとアートの異なるところは、伝わることの「確からさ」です。イラストレーションは限りなく明快に「ことば」でなくてはなりません。伝達、共感、共有......、そういった目的のために要請される技術です。こういう場で試されるのは、「新しいことば」としての視覚表現です。ことばなので鍛えなければ伝わりません。それはみんなにわかる共通言語からはじまって、最終的にはみんなが驚く独自の言語が目標です。本気なくしてはたどり着けない境地です。 それにしても20代あたりの若者の絵が暗い。世相の映しなのか、身につまされます。片や4、50代は安心して見ていられますが、どこか既視感とともに肝心なものがスポイルされてなかなか発見には及びません。

鈴木成一さん最終選考
最終選考者…生田目和剛 原田俊二 大場ケンイチ 金子幸代 フミコ 楓真知子 もみじ 出口瀬々(東京都)、坂之上正久(神奈川県)、前田なんとか(埼玉県)、三宅崇之(愛知県)、いちろう(京都府)、スージィ(兵庫県)、yasu224(福井県)

(鈴木成一さん審査のながれ 1次審査→最終選考)


 

PATER'S Gallery COMPETITION 2021年度受賞者展
2022年2月4日(金) 〜2月16日(水) 開催
ペーターズギャラリー 12:00〜19:00 木曜日定休
受賞作品の展示と、各審査員賞に選ばれた3名はあら たに描き下ろした作品も展示します。



© Yui Mitani

■審査員プロフィール

 
井筒啓之(イラストレーター)

80年代初頭より東京を拠点に活動。81年 玄光社「イラストレーション」誌上コンペチョイス入選、82年 日本イラストレーション展入選、82年 日本グラフィック展 準入選、
98年 講談社出版文化賞さし絵賞受賞。広告から出発したものの浅田次郎「鉄道員(ぽっぽや)」をきっかけに出版に軸を移す。近年は積極的に海外に進出、イギリスTaylors of Harrogate社のコーヒーパッケージ、ストレージサービスWetransferのデスクトップ画面など手掛けている。

「いまイラストレーションが歴史始まって以来の転換期を迎えている。僕の中ではカオス状態だ。いつ秩序が生まれるのか分からないがとても面白い時代になりそうだ。一緒に駆け抜ける人待っています。」

 
ゴトウヒロシ(アートディレクター/イラストレーター)

アートディレクターとして自らのデザイン事務所を率い企業のPR誌のデザインに携わる傍、
イラストレーターとして小説の挿絵、装丁画を主に手がける。
個展を機にフランスでもイラストレーターとして活躍。
30年前のコンピュータ黎明期よりデジタル表現の可能性を追求してきた。
最近は一転、油絵描いてます。
第1回Adobe Design Contest Adobe賞、
2002JAGDA新人賞、
#02東京イラストレーターソサエティ金賞ほか受賞少々。

「自分なりの表現を磨き上げた、普通にうまい絵が見たいです。絵を使う側の人間として、コーポレート系の仕事が多いのでそういう需要を満たしてくれる人の絵も見たいです。」

 
鈴木成一(グラフィックデザイナー)

1962年北海道生まれ。筑波大学芸術研究科修士課程中退後、1985年よりフリーに。1992年(有)鈴木成一デザイン室設立。 1994年講談社出版文化賞ブックデザイン賞受賞。エディトリアルデザインを主として現在に至る。「鈴木成一装画塾」講師。 筑波大学人間総合科学研究科非常勤講師。 著書に『装丁を語る。』『デザイン室』(いずれもイースト・プレス刊)、『デザインの手本』(グラフィック社)。

「新しい才能の発見を楽しみにしております。」



■ ペーターズギャラリーコンペ受賞者を訪ねて
過去のコンペ受賞者の活動をご紹介しています。

 
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