ペーターズギャラリーコンペ2013 受賞者のお知らせ

ペーターズギャラリーコンペ2013にご応募頂いた皆様 ありがとうございました。
審査の結果をご報告します。

テーマ「人」。人物を題材にしたイラストレーショ ン。
サイズ B3サイズまで。点数制限なし、画材自由。

審査員

白根ゆたんぽ(イラストレーター)
鈴木成一(グラフィックデザイナー)
寺田克也(マンガ・イラストレーター)
宮古美智代(アートディレクター/デザイナー)
※敬称略・五十音順

応募作品の中から各審査員が上位3名を選出し、賞を決定。
受賞者による作品展を当ギャラリーにて行ないます。 (2014年2月)

応募人数  516名
応募作品数 1501点

審査結果

白根ゆたんぽ賞/塙奈緒(神奈川県)
鈴木成一賞/松浦シオリ(北海道)
寺田克也賞/井内愛(東京都)
宮古美智代賞/大家三佳(大阪府)

白根ゆたんぽ賞次点/井出新二(東京都) 田中海帆(東京都)
鈴木成一賞次点/池田彩香(東京都) カワシマナオト(東京都)
寺田克也賞次点/浅間明日美(東京都)岡本かな子(東京都)
宮古美智代賞次点/荻原朋弥(東京都) 松山マリナ(愛知県)
※敬称略

■審査を終えて各審査員の声と最終選考対象者

白根ゆたんぽ賞 塙奈緒(はなわ・なを)
ぱっと見、絵の内容に引っ張られてリアルを追求した作風にみえるんだけど、所々にこの人なりのさじ加減というか、気持ちのいい「抜け」があってそのためかリアルとファンタジーの中間のような雰囲気が出ていてとても面白いと思いました。 ドメスティックなテーマを選んだ人達もそれなりの人数見受けられましたがここまで突き抜けたテーマ設定にはびっくりして審査中に声を出して笑ってしまいました。とはいえ、テーマの面白さのみによりかかっているのではなくレタリングの技術の確かさや隅々までキッチリ描いていること、それに矛盾するようだけど描きすぎないで仕上げている所など、色々と魅力のある作者だと思いました。 タイトルも絵の世界がひろがる付け方をしていて、人に絵を見て楽しませる、という事をちゃんと意識している人だと思います。こういう絵でルポルタージュ的な仕事への可能性もあるんじゃないか?とか思ってしまったりと、このあとが楽しみです。
   
白根ゆたんぽ賞次点  
井出新二(いで・しんじ)  
僕が騙されてるのか?という思いもありましたが、審査で通りすぎた後もこの人の作品のイメージが頭の中に残っていて、選ばされてしまったという感じ。似た人がいなかった、というのも大きな理由で、この人がどこまで計算でやっているのかこれだけでは判断しにくいのですが、このポップさが今回のコンペや現状のイラストレーションの流れの中で気になる作品として眼に映りました。騙されいるのではないと言う事で話を進めるとシンメトリーな構図とフォルム、紙の重ね方、下の紙の色が上に透けている部分、刀の絵の手元のちょっとだけ白く残した部分などに「かなりやる人」なんじゃないかという気がしています。
   
田中海帆(たなか・みほ)  
最後まで悩みました。ちょっとプロっぽすぎるというか、タッチや構図などのこなれた技術力はコンペというものの性質上選ぶのはどうかな?という思いもありましたが、女の人を描いた絵がたくさんあった中で、空気感と気持ちの良い色気、衣装などの選び方もポイントが高くてその魅力に負けてしまいました。決して新しい絵ではなく既視感はあるんだけれど、ちゃんと上手い絵を見るというのも楽しい行為なのでぜひ会場でディティールを皆さんに見てほしいです。
   

白根ゆたんぽさん総評

絵を描いて応募してみて、ひょっとしたら自分の絵が誰かに認められるかもしれないという「かもしれない」的な絵ではなく、自分のこういう絵を人に見てもらいたいんだ、という意志的な絵、そういう思いを丁寧に形にできる人の絵を選んだつもりです。その選考基準が前提でその中から、こちらの意表を突いたものが出てくるとかなり嬉しいものです。今回それが出てきたので面白く審査をさせていただきました。

白根ゆたんぽさん最終選考
最終選考者…篠原佳奈子、ミヤザキコウヘイ、荻原朋弥、松沢タカコ、青木賢吾、永谷早紀(以上東京都)、永原チオ、末次麻衣子、佐藤彩(以上神奈川県)、miiya、ミッキーオーソラン(以上栃木県)

(白根さんの審査のながれ 一次審査→最終選考)

 
鈴木成一賞 松浦シオリ(まつうら・しおり)
 
タチアオイの方の絵の首の美しさが素晴らしい。首と肩の角度の関係が圧倒的。指もすばらしい。最初からすべてPCでやってるのかな、だとしたら驚異的。髪の毛の描き込みもすごいし、形に無駄がなく、迷いもない。かなり完成されていると思う。年齢的なこともあるんだろうけれど、形式だけではない瑞々しさがあって、古風な絵ながらも今の人が描いてる感じがきちんと伝わってきた。
   
鈴木成一賞次点  
池田彩香(いけだ・あやか)  
四点の応募のうち三点目の絵がすごい。吸い込まれる。どうやって描いてるんだろう。遠くから見てもその輝きに魅了される。他の作品はあまりぐっとこない。とくに一点目と四点目は内向きで、こちらに語りかけない。それに比べ三点目の絵は持って帰りたいほど素晴らしいです。
   
カワシマナオト(かわしま・なおと)  
漫画なんだけどもちょっとみたことのない絵でびっくりした。瑞々しい。
荒削りな感じが今後どうなるのか。キャラをもっとはっきりさせて、この勢いのまま整理されていけばいいのではないか。一見、雑なんだけれど、すべてに無駄がない。絵に必要な要素。まっすぐな線も軽快でよい。
   

鈴木成一さん総評

毎年新しい才能が出てくるので感心しております。常に発見のあるコンペだと思います。今後ともなにとぞよろしくお願いいたします。また次回も楽しみにしています。 

鈴木成一さん最終選考
最終選考者…田口実千代、山本由実、玉木雅子(以上東京都)、塙奈緒(神奈川県)、藤木拓也(大阪府)、友野可奈子(静岡県)

(鈴木さん審査のながれ 一次審査→二次審査→最終選考)

 
寺田克也賞 井内愛(いうち・あい)
 
ものすごくオリジナリティがあるかというと既視感はあるタッチですが、「人」 というテーマに対して、今日見たなかで一番ストレートに入ってきた。 出品さ れた四枚がそれぞれ描き分け出来ていて、絵としてまっすぐで、強い。自分の家 に飾ってもいいという基準もあった。おめでとうございます。
   
寺田克也賞次点  
浅間明日美(あさま・あすみ)  
寺田克也賞の井内さんと奇しくも同じくゼブラと赤。ちょっとイカれてる感じがよかったです。すこし目を離すとまた見たくなるので、いっそのこと選んでしまった方がいいだろうと次点に選んだ。 この世界観でどれだけのバリエーションを出せるのかわかりませんが、このイカれた感じが、あざとくない形で伸びていくといい。
   
岡本かな子(おかもと・かなこ)  
絵のなかにものすごくさりげなく「遊び」が入っていて、そこにやられました。少しアイディア落ちみたいな面もあるけれど、二点の作品の関係性にやられた。
このシリーズをもっと見てみたいと思いました。絵のタッチも好きなものだったので、このどこかちょっと捻くれてる感じがこれからも出てくるといいなと思います。
   

寺田克也さん総評

たいへんレベルが高くなかなか選びづらかった。ただし空前絶後という唯一無二な存在はなかったので残念。そんな中、自分の好みで選んだだけで、最終選考まで残った人たちにはそんなに差がなく、結果はあくまで今日(審査した日)の気分に左右されたところがあるように思います。今日は赤と黒の 気分だったのかな(笑)。最終的には「パッと見て力のあるもの」これを大切に選ばせてもらった。レベルの高い作品が1,000点以上並んだなかで は、やはり強さを持った絵が最後に残る。
あくまで今日のオレが選んだだけですので、選ばれなかったこと自体はたいしたことじゃない。選ぶこちらの責任なので気を落とさないでください。こういうコンペに自分が出したら普通に落ちます(笑)。
人に見せるというところまで神経がいってない人、自分の感情だけで描いてる人もいた。人に見てもらうことに少し意識を払うだけでぐっと良くなりそうな人もたくさんいました。そういったものも身につけていくとよいと思います。 今回の審査はバラエティにも富んでいて、とても楽しかったし、疲れました。

寺田克也さん最終選考
最終選考者…相澤泉水、荻原朋弥、サジヒロミ、松田知子、石山さやか、山本由実、黒田愛里、香川理馨子、タカハシユウコ、いとうひでみ、平尾直子、林田秀一、 田中海帆、谷端実、水沢そら、いまいももこ、玉川桜、越智あやこ(以上東京都)、野本千洋、鬼塚敬子、川口伊代、山手澄香、末次麻衣子、小沼由香、塙奈緒(以上神奈川県)、田林かがね(埼玉県)、大家三佳(大阪府)、秦直也(兵庫県)、若林哲博(石川県)

(寺田さん審査のながれ 一次審査→二次審査→最終選考)

 
宮古美智代賞 大家三佳(おおや・みか)
 
作品を選んでいる間、何度も何度も目にとまり、とても気になる作品でした。
色の使い方、顔の表情、人物と動物の関係、そのどれもに魅力がありました。
そして、おおやさんの世界観がステキだなと思いました。
   
宮古美智代賞次点  
荻原朋弥(おぎわら・ともみ)  
後ろに描かれている花が、人物をものすごく引き立てていて洋服の柄や色と背景の花の色使いが、ケンカしそうでしていない不思議な魅力のある作品だなと思いました。
3点とも、人物の仕草、表情も良かったです。
   
松山マリナ(まつやま・まりな)  
初見で女の子の顔がかわいいなと思って見ていたら、あらぬところから足が見えたり、三つ編みがわらづとになっていたりと
見る側を、じわじわと引き寄せる強さがある作品だと思いました。
松山さんは詩や文章を読んで、どんな絵を描くのだろうかと想像しただけでワクワクしました。
   
 

宮古美智代さん総評

今回の応募作品を見て、のびのびと自分が描きたいものを描いている人が多いなと感じました。 そのように描いている絵を「物語を感じる」「仕事をお願いしたいと思うのか」「好き」「きらい」などといったくくりで見ていた自分のほうがのびのびしていないなぁと思った次第です。 いろんなスタイルの絵があって、見ていてとても楽しかったです。

宮古美智代さん最終選考
最終選考者… 玉川桜、くるぶし、サジヒロミ、松田知子、石山さやか、横山雄、岡田喜之、くぼあやこ、坂西育美、黒田愛里、三輪一葉、名渡山彩子、永谷早紀、相澤泉水、えんどうゆりこ、小野寺奈緒(以上東京都)、土田明彦、永原チオ、熊谷玲(以上神奈川県)、丸山礼華、小穴琴恵(以上埼玉県)、園田源二郎、大塚文香(以上滋賀県)、太田華菜子(京都府)、新山太郎(福岡県)

(宮古さん審査のながれ 一次審査→二次審査→最終選考)

PATER'S Gallery COMPETITION 2013年度受賞者展
2014年2月7日(金) - 2月19日(水) 開催予定
ペーターズギャラリー 12:00〜19:00 木曜日定休
受賞作品の展示と、各審査員賞に選ばれた4名はあらたに描き下ろした作品も展示します。




© kaori tatsuzawa

ペーターズギャラリーコンペ2013 作品募集要項

審査員 白根ゆたんぽ(イラストレーター)
鈴木成一(グラフィックデザイナー)
寺田克也(マンガ・イラストレーター)
宮古美智代(アートディレクター/デザイナー)
【敬称略・五十音順】
応募作品の中から4人の審査員が各々上位3名を選出し、賞を決定。
受賞者による作品展を当ギャラリーにて行います。(2014年2月中旬予定)
受付期間 2013年6月8日(土)〜6月19日(水)12:00〜19:00 木曜定休
※入賞者には7月11日までにご連絡します。
テーマ テーマ「人」。 人物を多く描いたイラストレーター・ペーター佐藤にちなんで、人物を題材にしたイラストレーションを募集します。
作品サイズ等 B3サイズ以下。 画材自由。 点数制限なし。
立体・半立体作品は保管の都合上、写真等でご応募下さい。
※折曲がりやすい作品は厚紙などの台紙に貼り、傷つきやすい作品の表面は透明のフィルム(アセテートフィルム等)をかけてください。 トレペ不可。 額装不可。
出品料

2点まで3,000円、3点目からは1点につき1,000円 (例:5点応募の場合、計6,000円)、郵送搬入の方は無記名の定額小為替証書もしくは普通為替(郵便局で購入可能)で作品と共にお送りください。
直接搬入の方はギャラリー受付にて現金でお支払いください。 
※応募者の都合による出品料の返金は致しません。

搬入搬出 上記の受付期間中に作品を、ペーターズギャラリーに直接搬入または搬送して下さい。郵送返却の方は返送先を記入した「着払い宅配伝票貼付の返送用封筒」または「切手貼付の返送用封筒」を同封して下さい。 直接搬出の方は7月20日〜7月31日(12:00〜19:00/木定休) の間に取りに来てください。
※搬出期間を過ぎた作品はお預かりできません。 搬出日に来られない方は必ずご連絡ください。
※作品の扱いには十分気をつけますが、万一破損・紛失した場合はご容赦願います。
応募先/お問合せ ペーターズショップ アンド ギャラリー
〒150-0001東京都渋谷区神宮前2-31-18
12:00〜19:00/木曜定休(ただし受付期間中の木曜日はオープン) 
Tel:03(3475)4947
Fax:03(3408)5127
mail:patersato@paters.co.jp
応募用紙はコチラをプリントアウトしてご利用ください。

■審査員プロフィール

白根ゆたんぽ(しらね・ゆたんぽ)

イラストレーター。
1968年 埼玉県深谷市生まれ 桑沢デザイン研究所グラフィック研究科卒業後フリーのイラストレーターとなる。
最近の関わった仕事として
東京メトロ「メトロは、すすむ。すすめる。」ポスタービジュアル、
STUSSY+EYESCREAMとのコラボレーションTシャツデザイン、
ミズノ大阪マラソンキャンペーンビジュアル、等。
2011年より母校の桑沢デザイン研究所にてイラストレーションゼミを担当。
「フレッシュなやつを何発でも打ち込んでください、出来る限りレシーブがんばります。」

 
鈴木成一(すずき・せいいち)

グラフィックデザイナー。
1962年北海道生まれ。筑波大学芸術研究科修士課程中退後、1985年よりフリーに。
1992年(有)鈴木成一デザイン室設立。1994年講談社出版文化賞ブックデザイン賞受賞。
エディトリアルデザインを主として現在に至る。
「心ときめくようなイラストレーションを期待します。」

 
寺田克也(てらだ・かつや) マンガ・イラストレーター。
岡山県生まれ 阿佐ケ谷美術専門学校卒業後フリーランス。マンガ、イラスト、
ゲーム、映画などの分野で活動中。
「いてもたってもいられない絵に出会うのが楽しみです。」
 
宮古美智代(みやこ・みちよ) アートディレクター/デザイナー。
イラストレーター・石倉ヒロユキ、装幀家・緒方修一のアシスタントを経て、現在フリーランス。
主な仕事に雑誌「Coyote」「SWITCH」のアートディレクション、デザイン
光浦靖子著『男子がもらって困るブローチ集』mook『森ガールvalon vol.2』mook『和の花嫁のヘアカタログ』など
「『人』というたった一文字のことばから広がった、たくさんの世界を見るのを楽しみにしています。」


■ ペーターズギャラリーコンペ受賞者を訪ねて
過去のコンペ受賞者の活動をご紹介しています。

 
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